建仁寺を抜けるとき、咲いている牡丹の花を見てきました。
・・・というよりも、この牡丹を見たいがために、五条まで歩いたのでした。
牡丹の咲く頃に、建仁寺に行きたいと思いながら、長らく機会がありませんでした。
二十代の頃、この近くに住んでいたので、
よく建仁寺の中を通り抜けては四条まで歩いたものです。
丁度同じように5月の日差しが心地よいある日
若かった私は、境内の牡丹を眺めていました。
ゆらゆらと立ち上る陽気と共に、牡丹の芳しい香りが辺りに漂い
とても幸福な気持ちになりました。
そして、そのまま家に帰り、転寝をしていていたとき・・・
芳しい香りのするピンク色の大きな蓮の花の傍ら
お釈迦様の大きな掌の上で眠るという
言いようの無いほどの幸福感に包まれたとても素敵な夢を見ました。
多分、あの牡丹のせいだったのだと思います。
もう何十年も経つのに、私はあの夢を忘れることが出来ませんでした。
もう一度、建仁寺の牡丹の花を見、香りを嗅いだら
またあの夢を見ることができるだろうかと秘かに願っていましたが
やはりそれはかなわぬ夢だったようです。
ちょうど、この日は、八十八夜。
日本の喫茶の始まりは、この建仁寺からだということですが
写真の生垣の若葉もお茶の葉です。