もう少し早く訪れていたならば、もっと古の風情の残る町並みに出会えていたのかもしれません
丁寧に手入れされ、大切に保存された状態で、住まれている家は素晴らしいものでしたが
かろうじて残っているだけで廃墟となった建物や
隣家が取り壊され、棟続きだった壁が丸出しになっている家など
芭蕉の句が頭の中を過ぎるような、残酷な風景にもたくさん出会いました
綺麗にセメントで固められた土手も、疎らになった家々も
数年前は、当時のままで、残っていたのだろうと思われます
上の写真の、軒の欠けている土地は、やがて駐車場か、建売住宅になるのでしょう
それもまた、歴史の中の必然です
水の少ない大谷川に、灰色の鷺が・・・
何故ということもないのですが、灰色の鷺の佇まいは、旧遊郭の町に似合います
古い銭湯の向かいの家が、ちょうど壊されているところでした
住んでおられたご家族なのか、瓦礫の前で写真撮影をされていましたが
とても晴れ晴れとしたお顔でした
確かに、住みやすさを思えば、新しい住宅のほうが快適なのに決まっています
家を建てることは晴れの行事なので、真っ青は春空の下、
仲良さそうなご家族には、幸福のオーラが漂っておりました
古い家の最後は、今年の桜の花びらが、飾ってくれたのかもしれません
春の陽を受け、古を偲びながら佇むと、三味の音や、通りを歩く草履の音
人々の嬌声が聞こえてくるようでした
春草や つわものどもが 夢のあと・・・
このような町が、きらいではありません