佐伯公園のある周辺路地の写真です
一般の民家や、ハイツが建ち並んでいました
当時と趣は変わってしまったでしょうが
佐伯の好みそうなカーブした路地、塀、電柱、電線など
生活者の匂いのする箇所があちこちに見られ、ちょっとうれしくなりました
ハイツの1Fの手前の部屋が空いているようです
ふと、ここに住む自分の姿を思い描いてみました
こんなときの私はいつも24歳、一人暮らしの貧乏な学生です
そういえば、私が引っ越す前の住まいの伏見稲荷
時々通っていた駅前の本屋さんの裏の何気ないアパートが
かつて坂口安吾の下宿先だとふとしたことから知り、驚いたことがありました
時代は変わっても、そこに住み、古の人と同じ空気を吸ってみることで
何かを感じることができるような気がしています
佐伯公園の入口の目印になる聖母病院
ここは、長島一茂さんの産まれた病院として有名だそうですが・・・
病院の通りの道を隔てて向かいに、気になる石段があるので登ってみました
廃墟となった住居跡のようです
チロリアンランプ、アブチロン、あるいは浮釣木(うきつりぼく)の名前を持つ
蔓状の赤い植物が繁殖していました
人のいない住まいはなにやら寂しいものです
かつて住んでいただろう人の姿を描いていると、佐伯と米子夫人
そして僅か6才で旅立ってしまった幼気な薄幸の少女、彌智子の姿が浮かんできました
佐伯の住居と重なって、ツワモノドモガユメノアト的な気持ちに物淋しくなりました
こんな心情のときは、可愛らしいチロリアンランプという名前よりも、
儚げな浮釣木の名前が似合います・・・